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物販の実務

売れない在庫を持ち続けるコストは、値下げ額より大きいことがあります

2026-09-15

出品して90日、まったく動かない商品があるとします。

値下げすれば売れるのは分かっている。でも「ここまで下げたら利益がほとんど残らない」と思って、そのまま置いてある。物販をやっていれば誰にでもある状態です。

このとき見落とされているのは、その在庫が場所ではなく現金を止めているという点です。

1件だけを見ると、値下げは損に見える

具体的な数字で置きます。

売価 販売手数料 利益 利益率
2,000円 200円 560円 28.0%
1,500円 150円 110円 7.3%
1,400円 140円 20円 1.4%
1,378円 138円 0円 0.0%

下限は1,378円です(計算方法はこちら)。1,500円ならまだ黒字ですが、利益は560円から110円へ、5分の1に落ちます。

この表だけ見れば「待ったほうがいい」と思うのが自然です。

資金の回転を勘定に入れる

ここに1つ、表に出ていない要素があります。1,000円の仕入代金です。

この1,000円は、売れるまで戻ってきません。戻ってこない限り、次の仕入には使えません。

2つの選択肢を、90日という同じ期間で比べます。

A. 待つ — 90日後に2,000円で売れたとする

利益 560円 / この間、1,000円は動かせない

B. いま1,500円で売る — 資金が戻り、次に回せる

利益 110円 + 戻った1,000円で、45日サイクルの商品を2回転

Bの後半は前提付きの試算です。同じ利益水準(1件560円)の仕入が見つかり、45日で売り切れる場合、90日で2回転して1,120円。合計 1,230円 になります。

Aの560円に対して、Bは1,230円。1件あたりの利益が5分の1でも、回転が3倍なら合計は上回ります。

この試算が成り立たない条件

そのまま鵜呑みにしないでください。Bが勝つのは、次が全部そろったときだけです。

3つ目が要点です。90日動かなかった商品が91日目に定価で売れる根拠は、普通ありません。Aの560円は確定した数字ではなく、外れた予想をもう一度信じ直しただけのことがあります。

Bの110円は今日確定する数字で、Aの560円は確率のついた数字です。同じ列に並べて比べてはいけません。

判断を毎回やり直さないために線を引いておく

とはいえ、1件ごとに「これは回転するか」と考え直していたら時間が足りません。実務では、先に区分を決めておいて機械的に当てはめるほうが回ります。

よく使われる区切りは出品日からの経過日数です。

滞留日数 扱い
〜30日 様子見。まだ動く余地がある
31〜60日 値下げ検討。目標利益率のラインまで下げる
61〜90日 積極値下げ。下限に近づける
91日〜 損切り検討。現金化を優先する

日数は商材によって変えてください。アパレルや季節商材は回転が遅いので、これより長めが妥当なことがあります。逆にトレンド商品は30日で判断しないと値崩れに追いつかれます。

大事なのは数字そのものより、売れなくなってから考え始めないことです。感情が入ったあとに引いた線は、たいてい甘くなります。

眠っている金額を把握する

もう1つ、月に1回は見ておきたい数字があります。

61日以上動いていない在庫の、仕入原価の合計。

これが「いま次の仕入に使えるはずだったのに、使えていないお金」です。1件ずつ見ていると小さく見えますが、合計すると想像より大きいことがほとんどです。この金額を見てから値下げ判断をすると、判断が変わります。

全件について同じ線を持っておく

ここまでの話は、出品中の在庫が数件なら手計算で足ります。50件、100件になると現実的ではありません。

これを出品日・販路・仕入単価・送料の入力だけで全件自動計算するシートを用意しています。手数料率と固定手数料は設定シートで編集できるので、改定が来ても1か所直すだけで済みます。

出品中の在庫すべてについて、同じ線を引くなら

1件ごとの損益分岐点売価と目標ラインの売価、出品日からの滞留日数による値下げ判定、眠っている在庫に止まっている現金まで。Excel / Googleスプレッドシート対応。

滞留在庫・値下げ判断シートを見る

もう1本、損益管理シート(2,480円)は売れた後を記録する側です。 2本まとめるならセット 3,480円(980円お得)。

手数料を引いた手取りを、その場で計算する

7販路の粗利を同時に比較できます。手数料率は自分の条件に書き換えられます。

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